Photoshop と言えば画像編集・加工ソフトとして有名ですが、実は意外にも「動画も編集できる」という隠れた名機能が存在します。
目次
まえがき
ゲーム作者に限らず、クリエイティブな分野で活動されている方は、Photoshop を利用している方も多いと思います。
しかし、その Photoshop に、静止画だけでなく動画も編集できる機能が備わっていることは、意外と知られていません。
さすがに本格的な動画編集ソフトに比べると機能は劣りますが、そこそこ高機能なので、既に Photoshop を持っている方で動画編集を行う機会もあるクリエイターの方なら、活用しない手は無いと思われます。
本記事では、そんな Photoshop に備わっている意外と高機能な動画編集機能をダイジェスト的に紹介していきます。
タイムライン編集
一般的な動画編集ツールに備わっているようなタイムライン編集機能も、もちろん搭載されています。
通常の画像編集機能側の「レイヤー」と同じような感覚で、撮影した各動画を時系列に並べたり、フェードイン・フェードアウト効果を挿入して次の動画に滑らかに繋ぐこともできます。
編集元の動画 (ゲームのプレイ動画等) はどうやって撮影するの?
別記事でも紹介していますが、元動画の撮影 (キャプチャー) 自体は Windows 標準機能である「ゲームバー」をもちいて行うことができます。
もし、撮影しただけの生の動画をそのまま SNS 等で公開するだけなら、動画編集ソフトは不要ですので、上記の記事を参考に動画を撮ってみると良いでしょう。
ただし、大抵の SNS では、動画をアップロードするための要件 (解像度、フレームレート等) が指定されていますので、動画編集ソフトをもちいた加工が必要になることも多いです。
もちろん、Photoshop にも、この後で紹介するとおり、動画の解像度やフレームレートを調整する機能が備わっています。
同一動画ファイル内の異なる区間をつなぎ合わせることも可能
動画を Photoshop に読み込ませた後、マウスを使って動画の開始位置、終了位置を調整することもできます。
例えばゲームの動画をあらかじめ長めに撮影 (キャプチャー) しておいて、必要な部分 (時間区間) のみをつなぎ合わせていく、といった編集ももちろん可能です。
動画中に文字や図形を描き込む
Photoshop に備わっている各種描画ツールも、レイヤー効果 (光彩や影など) を付けることも含めて、動画編集側でも同じように使うことが可能です。
そればかりか、配置した各種図形を、タイムラインにしたがってテロップのように動かしたり、フェードイン・フェードアウト効果を付けることも可能です。
時系列にしたがって文字や図形を変化させる方法のイメージ
時系列にしたがって文字や図形を変化させる方法は、同じく Adobe 社のより高機能な動画編集ソフト (例えば、別記事で紹介している Premiere Pro など) と似ており、基準となる時間位置にマーカーを打ちながら座標などを指定していく仕組みになっています。
- 例えば、動画開始から 2 秒のポイントで X 座標 = 0 としてマーカーを打ち、同じく 5 秒のポイントで X 座標 = 300 としてマーカーを打った場合、秒速 100 ピクセルで右側に動いていくようなイメージとなります。
Photoshop 自体に豊富な画像描画機能が備わっているので、動画への図形描画に関してはほぼ何でもできると考えて差し支えないでしょう。
動画出力時の解像度やフレームレートの調整
「ファイル」メニュー → 書き出し → ビデオのレンダリングと辿ることで、動画出力時の解像度やフレームレートの調整など、さまざまな条件を設定して MP4 形式で書き出すことができます。
上記の書き出し設定画面を見ても分かるとおり、かなり細かな設定ができますので、SNS にアップロードするときだけでなく、イベント申し込み等で必要な動画の入稿要件を満たすための調整も、(画質周りであれば) ある程度行うことができます。
Q. 動画の一部分だけトリミングしての出力はできないの?
「イメージ」メニュー → カンバスサイズを利用することでトリミングすることが可能です。
例えば下記の例では、1920x1080 の動画のうち、左上 1280x720 だけを切り出しています。
もちろん、この後「ビデオのレンダリング」側で最終的に出力したい解像度を指定することもできますので、トリミングだけでなく、拡大・縮小も含めた柔軟な動画出力が可能です。
制限事項:オーディオトラックの細かい編集は不可能
もちろん、Photoshop は動画編集ソフトではないため、機能が制限されている面も存在します。
特に制約が激しいのが「オーディオトラック」周りで、細かな編集 (音量調整など) は事実上「できない」と判断した方が良いでしょう。
高機能・高価な動画編集ソフトに備わっているラウドネス調整機能もありませんので、動画の入稿要件にオーディオ回りの条件が細かく指定されている場合、Photoshop では無理です。
筆者も、ラウドネス調整が必要になったときは、同じく Adobe 社の Premier Pro という動画編集ソフトを使用しました。
おわりに
本記事では、画像編集・加工ソフトとして有名な Photoshop に、動画の編集機能も備わっていることを紹介しました。
しかも、Photoshop の動画編集機能がそこそこ強力であることは、ここまで本記事を読んでいただいた方なら理解していただけたでしょう。
さすがに Premier Pro のような専用の動画編集ソフトには及びませんが、音声回りの編集が必要でなければほぼ何でもできるレベルの機能が備わっているので、Photoshop レベルの動画編集機能でも十分だという方は、有償の動画編集ソフトのサブスクを解除して Photoshop 1 本に統一するのも 1 つの手だと言えるでしょう。
いずれにしても、せっかく Photoshop 自体が高価なソフトなので、動画編集機能も活用しない手は無いと言えます。